このたび当社ハウジング事業部建設部の千田紘之が、『深層学習を用いた地震被災木造住宅の画像診断システム開発および普及促進に関する研究』にて、令和6年度前田工学賞を受賞しました。前田記念工学振興財団は故前田又兵衞氏が設立し、主務官庁が内閣府の組織です。同賞は土木及び建築に関する学術研究において著しい成果をあげた研究者を顕彰するものです。受賞に際しまして、周囲の方々のご支援へ感謝申し上げますとともに、本人の日ごろの努力に深く敬意を表します。
前田工学賞受賞
受賞者: 千田 紘之 (株式会社北洲 ハウジング事業部建設部)
題目: 深層学習を用いた地震被災木造住宅の画像診断システム開発および普及促進に関する研究
受賞者 千田よりコメント:
この度は、令和6年度前田工学賞にご選出下さり、誠にありがとうございます。名誉ある賞をいただけたことをとても嬉しく思います。ご選考にご助力くださった前田記念工学振興財団の皆様、ならびに選考委員の皆様には深く御礼申し上げます。
本研究は、大規模地震災害に伴う木造住宅の被害調査に焦点を当て、深層学習を活用した画像診断システム開発および普及促進を目標としたものです。近い将来予見される少子高齢化に伴う人手不足やそれに伴う地震被害調査、生活再建支援の遅延を問題視し、近年多分野にわたり活用が進む人工知能(特に深層学習)に注目しました。従来、大別的・定性的な画像分類手法が多く提案されていた一方で、本研究では領域分割によるピクセル単位での精緻な損傷量の評価を可能としております。また、普及促進を念頭に地震被害調査・振動台実験への適用性の検証を繰り返し、適切な診断結果が得られる撮影条件を抽出することで、画像データベース構築手法を提案するとともに深層学習活用型画像診断システムを開発しました。このような背景の中、本研究が名誉ある賞を授かったことを大変喜ばしく感じるとともに、研究成果が迅速な生活再建支援への一助となるように今後も邁進したい所存です。
現在は、株式会社北洲において現場管理を通じた木造住宅のつくり方や仕様など細部を学ぶことで、画像診断システムのさらなる充実や解析手法のさらなる改良を構想しております。
最後に、卒業論文・修士論文・博士論文・査読付き論文を長きにわたりご指導を賜った髙橋典之准教授へ心から感謝申し上げます。博士論文の審査では、副査の木村祥裕教授、五十子幸樹教授に多角的かつ的確なご指導、ご意見をいただき、厚く御礼申し上げます。その他にも、本研究の成果には様々な実験の分析に基づいており、その過程で、五十田博教授(京都大学生存圏研究所)、岡崎太一郎教授(北海道大学)、長江拓也准教授(名古屋大学)、纪晓东副教授,潘鹏教授,赵作周副教授(中国・清華大学)、柴山明寛准教授、榎田竜太准教授(東北大学)をはじめ、大変様々な方々にお世話になっております。ここに深く御礼申し上げます。
表彰式
2024年5月31日には表彰式が開催されました。
公益財団法人 前田記念工学振興財団
https://www.maedakksz.or.jp/