住宅メーカー・建設資材販売の株式会社北洲(本社:宮城県富谷市、代表取締役社長:村上ひろみ)は、2023年3月にハイブリッド自動車(HEV)に搭載されていた中古の車載リチウムイオン電池を活用した太陽光発電蓄電システム『E-Pillar(イーピラー)』を開発しました。当社は、東北大学の田路和幸名誉教授が研究・考案したシステムについて、東北工業大学の下位法弘教授のアドバイスを受けて開発に取り組み、環境負荷の低減に資する設備などの開発費用を補助する宮城県の補助金(令和4年度)の採択を受けました。
気候変動対策として世界各国はEVの普及を加速させており、約10年で交換時期を迎えるとされる車載用リチウムイオン電池の将来的な大量廃棄が予想され、リユースやリサイクルによりこうした事態を回避する取り組みが注目されています。当社は、家づくりを通して脱炭素社会の実現に向けたさまざまな取り組みを進めており、この度の開発には車載用リチウムイオン電池のリユースの受け皿としてだけでなく、住宅において自家発電・自家消費の仕組みを築くことでCO₂排出削減に貢献できる意義があると位置付けています。今後は、事業化に向けた準備を進め、提携先企業を探していきます。
■『E-Pillar(イーピラー)』の概要
【主に4つの使い方を想定】
1.太陽光発電で発電した電力をE-Pillarを介してEVに給電(H2V)
2.EVに蓄えられた電力をE-Pillarを介して家電に放電して活用(V2H)
3.平時には太陽光発電で発電した電力をE-Pillarに蓄電することも可能
4.非常時には太陽光発電で発電した電力をE-Pillarを介することで安定的に住宅内へ供給
【当システム開発の意義】
・住宅用太陽光発電とEVの普及が加速する中、安価なリユースバッテリー(リチウムイオン電池)を活用した自家発電・自家消費(電気の地産地消)のシステムを構築することで、CO₂の排出削減に貢献できる。
・住宅が車載用バッテリーのリユースの受け皿として貢献できる。
【採択の対象とされた宮城県の補助事業について】
事業名:令和4年度 宮城県新エネルギー等環境関連設備開発支援事業費補助金
採択された当社のテーマ:太陽電池と車載中古蓄電池を組み合わせた『E-Pillar』の開発
補助内容:事業区分は「開発着手型」、補助限度額1件につき250万円
【E-Pillarの特長】
E-Pillarは車載バッテリーをリユースしているため、住宅用バッテリーよりも安価に高出力で電力を供給することが可能です。
【システム開発者のコメント】
東北大学名誉教授 田路和幸氏
開発では、本田技研工業株式会社のハイブリッド車搭載の蓄電池の特徴を生かした使い方を模索し、高性能、高効率、汎用性、コンパクト化、かつこれまでにない低価格の実現を目指しました。この実現には直流給電技術が盛り込まれています。車に搭載された蓄電池の能力を固定用蓄電池でも再現しています。また、停電時の必要最低限の蓄電容量を確保し、余剰電力はEVやPHVに蓄電、複数のEVや交流発電機等の電力を合わせて大きい電力として家屋に給電する機能も持たせました。
【デザイン】
蓄電池と門柱のハイブリッドデザインとし、設備機器としての蓄電池ではなく、建物やエクステリアと一体となるようにデザインしました。